01アクセス解析を見ても「何をすればいいか分からない」理由
多くの経営者がアクセス解析を導入した後に感じる壁は、「数字はあるが行動に結びつかない」という状態です。その原因はほとんどの場合、「目的」と「指標」が結びついていないことにあります。
たとえば、「問い合わせを増やしたい」というホームページの目的があるとします。そのためには「問い合わせフォームへ到達した数」と「到達した人が実際に送信した割合」を見る必要があります。しかし何となくアクセス数(ページビュー)だけを眺めていても、問い合わせが増えない理由は見えてきません。
アクセス解析の数字は、「何を目的にしているか」を先に決めてから読むものです。この前提を持たずに画面を開くと、膨大なグラフの中で迷子になってしまいます。まずは「このホームページに来た人に、何をしてほしいか」を一つだけ決めてください。それが「問い合わせ」なら、問い合わせにつながる数字だけを追えばよいのです。
アクセス解析で最初にやることは「指標を覚えること」ではなく、「ホームページに期待する行動(=ゴール)を一つ決めること」です。ゴールが決まれば、見るべき数字は自然に絞られます。
02まず押さえたい5つの基本指標とGA4での見方
ゴールが定まったら、次はその達成状況を追うための指標を理解します。GA4で特に重要な5つを整理します。
| 指標名 | 意味 | 経営判断に使う読み方 |
|---|---|---|
| セッション数 | ホームページへの訪問数(1人が複数回訪れれば複数カウント) | 増加傾向なら流入施策(SEO・SNS等)が機能している |
| ユーザー数 | 実際に訪れた人数(重複除外) | セッション数との差が大きい場合はリピーターが多い |
| エンゲージメント率 | ページに一定時間滞在・スクロール・クリックした割合 | 低い場合はコンテンツや読み込み速度に問題がある可能性 |
| コンバージョン数・率 | 問い合わせ・予約など目標の達成数と達成割合 | 最も重要。ここを増やすことをすべての改善の起点にする |
| 流入チャネル | どこからアクセスがあるか(オーガニック検索・SNS・直接等) | 偏りが大きい場合は流入経路の多様化を検討する |
GA4では、左メニューの「レポート」→「概要」から大まかなセッション数・ユーザー数・エンゲージメント率を確認できます。コンバージョンを正確に計測するには、事前に「イベント」としてフォーム送信完了などを設定しておく必要があります。設定済みであれば「コンバージョン」レポートから達成数が確認できます。
流入チャネルは「集客」→「トラフィック獲得」で確認できます。「Organic Search(検索エンジン経由)」が多ければSEO効果が出ている、「Direct(直接流入)」が多ければ指名検索や口コミが効いている、といった読み方ができます。
GA4は旧版(ユニバーサルアナリティクス)より画面構成が変わっています。「直帰率」はGA4では「エンゲージメント率」(エンゲージメントがなかった割合の逆数)として扱われます。旧来の感覚で読むと誤解することがあるため注意しましょう。
03指標の異常が示すサインと改善の優先順位
数字を見たとき、「これは正常なのか、改善すべきなのか」の判断に迷うことがよくあります。業種・ページ構成・目的によって基準は変わりますが、次のような「異常のサイン」は改善の入口として参考になります。
セッション数が増えているのに問い合わせが増えない
流入は増えているがコンバージョンが伸びていない場合、サイト内の動線に問題がある可能性があります。問い合わせページへのボタンが見つけにくい、フォームの入力項目が多すぎる、スマートフォンで表示が崩れている、といったことがよく見られる原因です。具体的には、問い合わせページへの到達数(GA4では「ページとスクリーン」レポートで確認)と実際の送信完了数を比較することで、どの段階で離脱しているかが見えてきます。
エンゲージメント率が著しく低い
訪問者がすぐにページを離れているサインです。考えられる原因は「ページの読み込みが遅い」「タイトルと内容が一致していない(検索から来たが期待する情報がなかった)」「スマートフォンで読みにくいデザイン」などです。まずはスマートフォンで実際にページを開いて、自分が読み続けられるかどうか確認してみてください。
流入のほぼすべてが特定チャネルに偏っている
たとえば、流入の大半がInstagramからだとすると、SNSを更新しなくなった瞬間にアクセスが止まるリスクがあります。検索エンジンからの流入(Organic Search)が育っていると、更新頻度に左右されにくい安定した集客基盤ができます。中小企業がホームページでSEO集客するために最低限やるべきことも参考にしてください。
改善すべき順番は、① コンバージョン率の低下要因を取り除く → ② エンゲージメント率を改善する → ③ 流入数を増やすが基本です。集客を増やしても動線が壊れていれば成果は増えません。まず内側を直してから、外への発信を強化しましょう。
04「数字を見る」から「改善する」に変えるための3ステップ
データを活かして実際の改善につなげるには、次の3ステップで考えると進めやすくなります。
ステップ1:ゴールとKPIを一つずつ決める
「問い合わせを月○件にする」といった具体的なゴールを設定します。そこから逆算して「そのためには問い合わせページへの到達率を○%にする必要がある」などのKPI(中間の目標数値)に落とし込みます。KPIは欲張らず、最初は一つだけで十分です。
ステップ2:問題のあるページを絞り込む
GA4の「ページとスクリーン」レポートで、コンバージョンに関係するページの到達数・離脱率を確認します。たとえば「問い合わせフォームへのボタンがある商品説明ページ」で離脱率が高ければ、そのページが改善対象です。実際に複数のページを確認してみると、「このページだけ異常に離脱が多い」という発見があることも少なくありません。
個人事業主がひとりで業務をこなしながらこの作業を行う場合、週に15〜30分程度の確認時間を固定で確保する運用がよく続きます。日々の業務に埋もれて確認しないまま1ヶ月が過ぎると、改善タイミングを見逃してしまいます。
ステップ3:一箇所だけ変えて効果を測る
問題のあるページを特定したら、「ボタンの色を変える」「文章の順序を変える」「入力フォームの項目を減らす」といった一点改善を行い、変更前後の数値を比較します。複数箇所を同時に変えると、何が効いたか分からなくなるため、一回一箇所が原則です。小さな改善を繰り返すことで、ホームページは少しずつ成果が出やすくなっていきます。
なお、改善の方向性を整理する段階ではホームページリニューアルのタイミングの記事も参考になります。「改善で対応できる課題」と「リニューアルが必要な状態」の判断基準が整理されています。
05ホームページの改善を外注するタイミングとその進め方
アクセス解析で問題箇所を特定できても、「自分で直し方が分からない」「修正する時間が取れない」という状況は珍しくありません。そのような場合は、外注(制作会社への依頼)が有力な選択肢になります。
外注を検討する目安としては、次のような状況が続いているときです。
- コンバージョンが3ヶ月以上改善しない:自力の改善で動かない場合は、設計レベルの見直しが必要なことが多い。
- スマートフォン対応が不十分:現在は多くの業種でスマートフォンからの流入が大きな割合を占めるため、対応不備は機会損失になりやすい。
- フォームの送信完了率が著しく低い:動線・UX・技術的な不具合が絡んでいる場合があり、専門家の確認が有効。
外注を依頼する際は、アクセス解析で把握した「どのページで」「どの数値が」「どのくらい低いか」を資料として持参すると、制作会社への伝え方がスムーズになります。感覚で「なんとなく問い合わせが少ない」と伝えるよりも、「問い合わせページへの到達率は○%だが送信完了率がその○分の1しかない」と伝えることで、改善提案の精度が上がります。
NaoTsu Productionでは、ホームページの設計・実装・公開後の運用まで一気通貫でお手伝いしています。「アクセス解析を見たが何を改善すべきか相談したい」という段階でも、現状整理からご一緒できますので、まずはお声がけください。
アクセス解析は「見る」ことが目的ではなく、「改善する」ための材料です。ゴールを決める → 5つの指標を読む → 問題箇所を一箇所ずつ直す。このサイクルを回すことで、ホームページは少しずつ成果に近づいていきます。